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2008年6月

峰隆一郎 非情の牙

久しぶりに人斬り弥介シリーズを読んでみました。

おそらく峰隆一郎作品で屈指の使い手小田丸弥介の6作目。

第一作 人斬り弥介

第二作 平三郎の首

第三作 暗鬼の剣

第四作 修羅が走る

第五作 斬刃

前作五作の中で、浪人とは何かを峰隆一郎さんは書いてきました。

浪人の凄惨な貧乏生活。それを生み出した幕府政治の失策。

藩士と浪人との対比で様々なモノが見えてきます。

これは、ある意味現代社会にも通じており、いろいろ考えさせられて興味が尽きません。

人斬り弥介シリーズは、この後2作が発表された後、大陸書房の倒産により一時新作が読めませんでしたが、圧倒的な人気に裏打ちされて新シリーズが後日発刊されたのはご存知の通り・・・。

中途半端に6巻を読んだため、また弥介シリーズを読みたくなってしまいました。

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峰隆一郎 刀根又四郎論

峰隆一郎の時代小説にはたくさんの魅力的な登場人物がでてきます。

それぞれ大好きな主人公なので、主人公論を展開していこうと勝手に決めました(笑)

刀根又四郎は、二階堂平法の達人です。

二階堂平法は、松山主人が二階堂流を発展させて、平法として創始したと言われています。

平の字が示すとおり、一、八、十の順番で剣を学んで行きます。

最初の数年間は、ひたすら横に薙ぐことだけをやらされます。

剣を振りかぶって上から下に斬りかかっても、最大の肩幅しかありませんが、横に剣を薙ぐと、頭から足まで斬る長さ(可能性)が大きいため、避けにくいのです。

言われてみればその通りですね。

1.頭の皿を飛ばす。

2.首を薙ぐ

3.胸(心臓)を薙ぐ

4.腹を両断

5.脚を薙ぐ

この5パターンあるそうで、必殺の横薙ぎの剣なのですね。

一の横薙ぎを覚えたら、右袈裟斬り、左袈裟斬りの八の字斬りを覚え、最終的には十文字斬りで目録を得られるそうです。

刀根又四郎は、二階堂平法という必殺剣法の達人であり、もう一つこれ以上の武器があるのです。

殺気を感じると、半鐘がなりだして知らせてくれるのです。

酒によって両国橋の橋げたにあたまをぶつけて、右耳が聞こえなくなった代わりに「カンカンカン」と半鐘がなりだす・・・。

この発想は凄いですね。峰隆一郎恐るべし!

峰隆一郎のチャンバラ小説には宮本武蔵をはじめ岡田以蔵、浮田孫十郎、葉月六郎太そしてスーパーヒーロー柳生十兵衛と剣豪がそろっていますが、負けないという意味では刀根又四郎はベスト3に入るでしょう。

半鐘がなって危険を知らせてくれるので、準備ができるから斬られるわけがないですね。

二階堂平法+半鐘・・・これだけでも十分に強いのですが、刀根又四郎は、自分を野良犬とはっきり認識して自分の思うがまま生きるのが魅力です。

田沼意次から仕官の道(出世+安定)を告げられても、即答で断り、莫大なお金をぶら下げられてもぶれない生き方ができることこそ、刀根又四郎の魅力なのでしょう。

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峰隆一郎 弧狼が斬る

またまた、時代小説を読んでしまいました。

好きなんですねぇ!

大好きな刀根又四郎が登場するこの「孤狼が斬る」は何回読み返しても面白い。

大好きなキーワードにあふれています。

1.浪人
2.貧乏
3.チャンバラ
4.二階堂流
5.田沼意次

浪人=自由を感じるのです。自分の好きなように生きるには浪人っていいのです。

そして貧乏・・。自由を得れば定収入を失います。しかし、貧乏を理解すれば、これほど楽しいものもないかもしれません。

これを説明しだすと長くなりますが、起きて半畳寝て一畳の精神や、何も持っていない人は全てを得ることがわかれば、人生を楽しめるのですね。

二階堂流をチャンバラで楽しむのが大好きです。

自分が刀を使って斬り合いをするのなら、絶対二階堂流を選びます。

合理的で、しかも強い平法でばっさばっさとなぎ倒し・・・馬鹿ですねぇ。

田沼意次には共感するところが多く、大好きです。

贔屓目かもしれませんが、現代でも田沼流経済活性化方式は通用しそうです。

何よりも峰さんの小説を書くスタンスが大好きです。

これは、また次回の話題としましょう。

峰さんが亡くなったのが本当に残念です。

読めば読むほど峰流エンターテイメントは一流であったと思います。

峰さんの本をまたたくさん仕入してこよっと。

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ポール・リンゼイ 目撃

良質な犯罪小説を読みたい方に・・・・

ポールリンゼイの目撃は安心して、どっぷりと犯罪捜査を楽しめる佳作であります。

作家のポール・リンゼイはFBI捜査官時代に、この小説を書き上げたそうです。

ですから、リアルであり現場捜査官の感じる痛みや悩み、不安や喜び、現場の問題点などに嘘っぽさがないのですね。

官僚的なFBI体質や、上司の無能さは特にリアルです。

自分で経験したり、感じた怒りを小説に表現していますので、否定しようがないのでしょうね。

FBI内部の腐敗状況も、現場捜査官の優秀さも、現場捜査官から見た真実なのでしょう。

真実とは何か?

仕事とは何か?

深く考えさせられる小説であるとともに、文句なしに面白い小説です。

もう7回くらい読み返しましたが、忘れた頃に読むのとまた新たな発見があって楽しめます。

数年に1冊出るかでないかの名作です。


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北方謙三 明日なき街角

北方謙三氏の小説を読むとカタルシスを感じる。

快感を感じてしまう。

北方氏はハードボイルド作家と呼ばれているが、意図してハードボイルド作家になったのではないとエッセイで書かれている。

ハードボイルドとは文体のことである。

これは、私の持論でもあるし、多くの方が宣言している。

極力心理描写を抑制して、行間に心情をにじみだすようにしている文体のことである。

北方謙三は売れない20代の頃、編集者から書き直しを何回も何回もさせられて同じストーリーを文体を変えて書く練習をしたようである。

・・・・・ハードボイルド調で書いてみましたが、疲れました。ふぅ~。

明日なき街角から北方節をちょっと引用してみます。

●ヘッドライトが消えた。哲二は、くわえていた煙草をもみ消した。車を降りてくる二つの人影がみえた・・・・

●古いビルだった。開かないドアを男はいきなり蹴飛ばした。・・・

昼は作業着、夜はセルッティのスーツに身を固める哲二の中で、獣は育つ・・・・

ハードボイルドファンなら読みたくなる表現ですね。

「俺がけだものだってのかい」

「大人しい、いいやつだよ。だけどどこかにけだものを飼っている・・・・」

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阿川佐和子 いつもひとりで

ちょっと小柄でグラマーで、才媛お姉さま阿川佐和子さんの名エッセイです。

TVタックルでの阿川さんと、小説家エッセイストの佐川さんとは大違いなのです。

TVではメガネをかけた一重まぶたでごま塩頭の頭の悪そうなおじさんや、頭の光っているおじいさまなどの口うるさい方々に囲まれて本来の才女ぶりを発揮できないのですね。

日常の会話や、出来事。そして幼稚園から若かりし日々を思い出して面白おかしく文書を紡ぎだす技術はさすが。

本人は、読書が苦手とのたまっておられますが、これはお父上阿川弘之文豪のレベルと比較してのことで、一般人の我々と同一で語れないのが怖いところでしょう。

謙遜に騙されると大変な目にあいます。

慶應出身で、英語もペラペラ、しゃべるペースで文章を書ける才媛には騙されませんぞ。

偉ぶらないで、失敗談を笑い話にしてしまうあたりが素敵です。

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峰隆一郎 剣鬼・岡田以蔵

居眠り磐音シリーズを読破し、サスペンスでも読む予定でしたが、やはり時代小説が読みたくなって、チャンバラ小説を探してきました。

チャンバラ小説といえば、やはり峰隆一郎さん。

チャンバラの中のチャンバラ岡田以蔵の小説です。

実は、幕末~明治の話も大好きなのです。

今回は、幕末が舞台です。

教科書で、歴史を学ぶより莫大な小説を読むことで時代背景を勉強してきたのですねぇ。

ですから、尊王攘夷(ここでは、勤王攘夷と表現しています)と佐幕、倒幕、開港それぞれの矛盾も理解しているつもりです。

当時の志士達の中で日本の進む姿を正しく理解していた人は坂本龍馬はじめ少数であったと思います。

たかがチャンバラ小説とあなどってはいけません。

勉強の嫌いは岡田以蔵を使って、峰さんはこのへんを痛快に皮肉って当時の人々の考え方を正しく描いております。

大体、尊王と攘夷は別の概念ですから、尊王攘夷と続けてひとくくりにする歴史の授業がおかしかったのです。

尊王佐幕(公武合体策)もあれば、尊王倒幕も、尊王開港や佐幕攘夷も、倒幕攘夷、倒幕開港も入り乱れていた時代だったと思います。

倒幕を目指しているのに、武士の身分は永遠に続けられると信じて疑わない志士の姿が印象深かったです。

まるで、今の愚痴を言っている駄目駄目サラリーマンをみるようでした(笑)

口を開けば会社の愚痴や悪口を言っているのに、独立するだけの能力も自信もなく、理想の雇い主を自分の都合で求めているサラリーマンは、当時の多くの能力のない志士に共通するものです。

坂本龍馬は、土佐藩を脱藩し、日本のあるべき姿を求めて商社(株式会社)の租となる海援隊を組織したりしております。

岡田以蔵は、飼い犬として描かれております。

岡田以蔵が野生の狼だったらきっと天下無敵なのでしょうね。

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佐伯泰英 狐火ノ杜

居眠り磐音シリーズ第7弾も読破しました。

これはチャンバラ江戸時代旅行記としても気楽に楽しめました。

独特の視点で、江戸時代の浪人、長屋住まいの日常が描かれておりいろいろ想像をめぐらせると楽しいです。

当時の庶民の楽しみとは・・・

貧乏とは相対的なものであり、貧乏も楽しんでしまえば気楽で良いものなのかもしれません。

それにしても、睡眠時間がなくなってそろそろやばそうです(笑)

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ロバート・B・パーカー 残酷な土地

スペンサーシリーズを読み直してみようと、本屋にあるだけ買ってきました。

最近時代小説ばかり読んでいるので、ちょっと方向を変えてみようかと思います。

スペンサーシリーズを最初に読んだのは、20年近く前のこと・・・

当時スキーにはまっており、カナダまで出向いておりました。

贅沢なコンドミニアムを借りて、優雅にリゾートを楽しんでいた時に一緒に行った友達の本を借りて読んだのが始まりです。

面白さに衝撃を覚え、日本に帰るや否やスペンサーシリーズを買いまくったものでした。

その後、新刊はハードカバーで毎年購入するようになりました。

さて、残酷な土地です。

ボストンを中心として描かれるスペンサーシリーズですが、ここではロスアンジェルスが舞台となります。

パーカーの書くロスアンジェルスは、日本人の描く楽園のイメージとは程遠い世界で、メッキをつけた安物の金属の真の姿を愛情込めて描いております。

パーカーの描き出す都市の姿は秀逸でいつか訪問したくなります。風景描写のうまさはハードボイルド小説の特徴でしょうね。

頑固一徹、男のポリシーを貫き通すスペンサーの生き方に賛否両論はあるでしょうが、読んでいて痛快に感じるのは哲学を感じるほどブレのない生き方にあるのでしょう。

お金でもなく、名誉でもなく、地位でもないものに人生の意義を見出している人は大好きで、共感がもてます。

不器用ながら、自信を持って突き進むスペンサーにたまに会いたくなる。できることならもっとベタベタした恋愛部分の描写がなければもっと良いのでしょうが、これも含めてスペンサーシリーズなのでしょう。

しばらく時代小説と平行して、このスペンサーシリーズを再読(再再再読?)して行こうと思っております。

久しぶりに旧友に会うようでちょっとワクワクします。

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佐伯泰英 雨降ノ山

佐伯さんの居眠り磐音シリーズにすっかりはまってしまいました。

坂崎磐音の日常生活は本当に面白いです。

変な例えですが、サザエさんシリーズと同じように坂崎磐音の長屋生活に引き込まれてずっと読んでいたくなる。

7~10巻まで読んで、4巻を読み、5巻目に突入しました。

居眠り磐音シリーズを読み進める内に、磐音のことgだんだんわかってきました。

特に、長屋での生計に追われているところがなんといってもリアルで面白い!

鰻のさばきを、一日百文でするのが生活の糧となっており、用心棒などの臨時仕事でなんとか生きていく浪人の生活がいいのですねぇ!

夕食の心配はするのですが、来月、来年の悩みなどまったくない気楽な長屋生活。

わたしの好きなチャンバラ場面が多くてこれも嬉しいところ・・・

直心影流のウンチクや、刀についての記載も嬉しいです。

眠狂四郎の円月殺法とにたような、居眠り剣術・・・

年をとった猫が縁側で昼寝しているようなゆっくりとした剣法って面白いですね。

興味が尽きないシリーズで当分読み続けます・・・・

あー、眠い。

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佐伯泰英 雪華ノ里

10巻まで居眠り磐音シリーズを読んでから、4巻目に入りました。

こんな読み方をする人はそうはいないでしょうね。

正直、読み始めたら何回も読むのを止めようと本を閉じました。

その後の展開を知っているからこそ、哀しくて読めないエピソードがあるのです。

愛する許婚の女性が苦界に身を落として、各地を転々と売られていくのを追いかける坂崎磐音・・・

私は、主人公がいじめや、暴力、不当な扱いをされても耐えて耐えて自分の信念を貫くストーリーには共感しながら読み進めますが、自分の愛する人が苦界に身を落として春をひさぐストーリーには共感できないし、したくないのですね。

佐伯さんの他のシリーズでもそうですが、このような傾向があるんですね。

しかし、文句を言いながら読まされてしまうのは佐伯さんの力量なのでしょうね。

本を読んでいる時が一番楽しいのですから仕方ないか・・・

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佐伯泰英 遠霞ノ峠

居眠り磐音シリーズ 8巻 「朔風の岸」 面白かったです。

すぐに9巻目の遠霞ノ峠を一気に読んでしまいました。

古着屋総兵衛影始末シリーズ(徳間文庫)を思い出すような古着の販売場面もあり、リアルに商売の可能性を想像できて楽しかったですねぇ。

居眠り磐音シリーズの全てを読みたくなり、本屋に走りました。

残念ながら、1巻~3巻までがなかったので、4巻~7巻を買ってきました。

ここで普通の方なら、8巻、9巻を読んだ段階で次は何を読むのでしょうか?

私は迷わず10巻目を読み出します。

しかも、他の本もツマミ読みをしながら・・・・

しかしながら、佐伯泰英さんはある意味サディスティックですね。

国家老の嫡男であるのに、浪人となりそれでいて旧藩のために身を粉にして危険を顧みず働き、藩の財政再建に陰ながら働いて貢献させられています。そして自分は食べるために何でも屋のような仕事をして小汚い長屋住まいをしている・・・。

婚約者は、苦界に身を落とし、身を売っているのに自分は助けることもできない。

サディスティックな要素がないとここまでかけないのではなんて思ってしまうのも無理もないですよね。

こんな、コテコテのお涙ちょうだいのストーリーに喜んでしまう私も年をとったんでしょう。

なにかの本のあとがきだか、解説で佐伯泰英さんの居眠り磐音シリーズは通勤電車で読むのにふさわしいと書いてありました。

私は雨降りの夜、睡眠時間を削って眠い目を擦りながら布団の中で読むのも好きです。

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