北方謙三 擬態
文春文庫 2004年11月
一昨年ころ、北方謙三に思いっきりはまっていました。
ちょうど、長く勤めたサラリーマンに見極めをつけて、自分らしく生きることを真剣に考えていた頃です。
北方さんはかつて、ロングインタビューで面白いことを言われていて、膝を打って共感したことを思い出します。
かつては、はみだす人間の心が正常だった。
健康だからはみ出してしまう。
社会は俺を受け入れないけれど、俺は健康なんだ。
はみ出す行為は、自己破滅的な要素が強く、実際にはなかなかできない。それを小説で読者に提供できたらカタルシスをかんじてくれるんじゃないか・・・・
まさしくその通りです、北方サン。
擬態では、つまらないサラリーマンの人間関係の縮図が描かれており、本物を内部に隠す主人公の反抗が始まります。
中学の時に夢中で読んだ大藪春彦の蘇る金狼を彷彿させ、読んでいても内面から湧き上がるパワーを感じます。
実際にはできない会社組織の矛盾や、仕事が全く出来もしないのに威張り腐った年功序列のバカ親父をバッサバッサとやっつける快感!
カタルシスを感じるだけでなく、自分の人生を変える役にもたった北方さん。
一度の人生ですから、みっとも恥ずかしいサラリーマン(全員ではないですよ)に甘んじるより、正しいことをすぐに実行できる立場に身を置こうと思えたのも、自分の足で立って自信を持って生き抜いている一匹狼の北方兄貴のような存在でした。
北方さんの描く狂犬をむさぼり読んだ頃を懐かしく思い出します。
20代、30代の方にとってサラリーマンはいいものでしょう。
夢中で働き、会社に貢献しながら実力を付けていく時期です。
しかし、その時期を通り過ぎていくと、人生や自分に正直に生きていこうと思えるようになるのです。
サラリーマンを継続するリスクの大きさに戦慄するのです。
幸せとは、お金でも、出世でもないことに気づくのです。
充実した時を楽しく過ごすには、仕事に偽りがあってはいけません。
わくわくした人生を送るには、仕事にも妥協してはいけないのです。
飼い犬と、野良犬の分かれ道を考えさせてくれた北方謙三さんの小説でした。
鎖につながれ自由がない代わりに飼い主に尻尾を振って餌をもらう人生か
飢えて死ぬかもしれないが、自分で生きたいように楽しく生きる人生か
どちらを選ぶのも自分です。
どこかの言論統制されている、共産主義国を報道やWEBで見るにつけ、今の一国一城の主になった自由な自分を祝福したいです。
楽しい毎日!
楽しい充実した仕事!
背中を押してくださった皆さんに心の底から感謝です。
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