北上次郎 感情の法則
感情の法則 北上次郎 幻冬社文庫 平成十八年発行
活字中毒だなってつくづく感じる私ではありますが、
世の中には上には上があるものです。
今回ご紹介する本の著者、元祖活字中毒者地獄の味噌蔵=北上次郎さんです。
(わかる人にはわかるでしょう)
ご存知「本の雑誌社」 社長 目黒孝二さんのことです。
その昔、椎名誠さんと同じ会社にいた時、日本読書株式会社?(記憶があいまいです)という本を読んでいるだけでお金をもらえる会社を真剣に考えられて、結局本の雑誌という形で夢を実現してしまったうらやましい成功者です。
私もそんな会社があれば入りたいものです。
朝、会社に出社して、席に着く。
机の引き出しを開けて、本を取り出す。昨日の続きから読み出す。読む。読み続ける。ひたすら読む。昼飯は、本を読みながら片手で食べられるサンドウィッチ。
午後も読む。終業のベルがなる。読みかけの本を閉じ、家路に向かう・・・・
いいですねえ!3年も海外ミステリー課にいたから、今年中には時代小説課に移動するかもな。なんて、話題で仕事帰りに同僚と一杯やって帰るのです。
おーっお前は、今月最高殊勲賞だ!毎日残業をして、73冊を読破したから、社長賞もらえるかもね。なんて言われていたりして・・・。
椎名誠さんの書く小説や、対談集ではチャラけて見せる3枚目キャラクターも、北上次郎となのるやいなやハードボイルドに大変身!
高校の頃から私もハードボイルド小説にはまっていましたが、
ハードボイルドとは主人公の生き方ではなく、小説の文体のことである・・・
誰かがこんな風に言っておりました。これを聞いた(読んだ)時に、「なるほど!」と膝を打ったものですが、北上次郎さんの書くこのエッセイもハードボイルドです。
文章が朴訥として、クールでカッコいいです。
「感情の法則」 タイトルからしてハードボイルドの香りがしてきますね。
文章の入り方もうまいですねぇ!
読書エッセイなのに、良質の古きよきアメリカのハードボイルド小説を読んでいるような感じがします。
ちょっと北上次郎風に書いてみますね。
唐突にいきなり文章が始まる。そしてそれに関して一切の無駄な説明などない。
「佐藤正午は書き出しのうまい作家だとしられている」と書いてあるが、北上次郎も負けず劣らずうまい。
「喫茶店ピッコロは・・・にあった」
「辞世の句をつくりたい・・・」
「うちのかみさんに評判わるいですよ」
さりげなく、そしていきなり始まる。北上次郎の感情を抑えた淡々とした表現に何時しか自然と引き込まれていく
なんか、文体を変えると性格が変わったみたいで面白いですね。
北上次郎さんというより、目黒さんのことは、椎名さんの大好きなあやしい探検隊シリーズで釜たき目黒なんて呼ばれていた時からの知っています。
群ようこさんのエッセイにも登場してますよね。
一番すきだったのは、発作的座談会でお馬鹿な話を真剣に語りあう?のを読んでいるとおなかの皮がねじり切れるほど笑ったものです。あー面白い!
でも、今回ご紹介の感情の法則はかっこいいのです。
北上さん、もっともっとこんな本を出してください。
北上さんが読んだ本全てのエッセイを書いたら、莫大な量になるでしょうね。
ご自身であとがきで書かれている通り、
「翻訳小説をテキストにして、その本のテーマや会話、あるいはシーンなどを取り出しそこに勝手な感慨を付け加えた」本ですが、ご自身の身の回りのことを述べている場面が多いので、北上ファンにはお奨めです。
WEB本の雑誌の「目黒孝二の何もない日々」も楽しみに読んでおります。
本当におもしろい!
こんな文章をかけたらいいのにな・・・
あっ、そうそう。一回北上さんにお会いしてやってみたいことがあるのです。
是非、信州の酒蔵にご招待しますので、古い酒蔵にお入り下さい。
お酒と食べ物はふんだんにご用意します。
但し、本は厳禁な「禁本の酒蔵」です。
禁煙に簡単に成功した北上さんでも、「禁本」は耐えられないでしょうね。
活字に飢えた北上さんが、「あ~、う~」言いながら禁断症状に陥るのをみせて、椎名誠さんに、新しい「続活字中毒者 地獄の酒蔵」を書いてもらいたいと思うのです。
北上さん、いつも面白い本を紹介してくれてありがとうございます。
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